熊本県の運送・配送ドライバー求人

熊本県は九州地方のほぼ中央にあり、福岡県と大分県、宮崎県、鹿児島県の4県と接しています。県面積の約6割を森林が占め、北東部にある阿蘇山は世界最大級のカルデラを有します。豊富な水に恵まれ、白川水源、池山水源、菊池水源、轟水源の4カ所は、環境庁の「名水百選」に選ばれており、特に熊本市の水道の水は100％地下水であり、人口50万以上の都市としては日本で唯一となっています。県内の高速道路は、九州自動車道、南九州西回り自動車道、九州中央自動車道などが走り、県内の縦軸である九州縦貫自動車道は整備されていますが、九州の横軸となる九州中央自動車道や中九州横断道路をはじめ、熊本市と天草市を結ぶ熊本天草幹線道路の整備は途上の段階であり、ミッシングリンク(道路整備が途切れている区間)が多く存在しています。また、熊本県の高規格幹線道路の整備率は82％となっており、九州地方平均の86％を下回っています。熊本県では県内各地域に半導体や自動車関連企業が多数立地しているうえ、「地域未来投資促進法」に基づき県内全市町村が促進区域に指定されています。そのうち20市町村においては重点促進区域を設定しており、熊本市周辺の自治体を中心に工場立地特例対象区域が指定されるなど積極的な企業誘致等による県経済の活性化や雇用の創出が期待されています。その一方で、製造拠点から熊本港や熊本空港への移動時間が長く、物流・交通拠点へのアクセス性の向上が求められています。さらに、コロナ情勢下での自動車交通量の変化を見ると、大型車交通量については、緊急事態宣言中においても減少傾向は見られず、安定的な物流を支える道路の重要性が改めて確認されました。コロナ禍でのeコマース(電子取引・決済など)や食事宅配といった小口物流の増加など社会変容を踏まえた物流形態の多様化を可能とする道路空間の構築が必要であり、熊本県では増加する物流への早急な対応が迫られています。

厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」によると、令和2年の大型トラック運転者の平均年収は約454万円、中小型トラック運転者の平均年収は約419万円となっていますが、熊本県は、大型トラック運転者の平均年収が約356万円、中小型トラック運転者の平均年収は約382万円となっており、大型トラック運転者の平均年収は、九州地方で最も低い結果となりました。運送業界全体の平均年収は様々な調査結果がありますが、およそ380万円～450万円ほどと言われており、日本の平均年収と比較すると低い傾向にあります。また、基本的にトラック運転手の給料は、大型トラックや長距離運転、けん引などの運転技術が必要とされる仕事に就くことで上昇する傾向にあります。給料アップを目指すには、仕事の選択肢を広げる努力がポイントになります。

国土交通省の統計データによると、令和4年3月時点の熊本県内の一般貨物運送事業者数は、798事業者となっています。熊本県内はトラック運転手の人材不足が深刻化しており、近年の少子高齢化に起因する人口減少社会によって生産人口が低下するなかで、商慣行や慣習による長時間労働や適正運賃の収受問題も顕在化しており、今後ますます県内のトラック事業者は取引環境や労働環境の改善が必須となっています。国土交通省九州運輸局では適正な運賃及び料金の収受について平成29年11月に標準貨物自動車運送約款を改正し、運送の対価である運賃と運送以外の対価である積込料や待機時間料等の料金の範囲を明確化し、運賃と料金を別建てで収受することができるようにすることでサービスに対応した適正な収入を得ることが可能な環境の整備を図りました。令和2年4月には、トラック事業者が、荷主との交渉やトラックドライバーの労働条件の改善等を図るため、法令を遵守して持続的に事業を運営するための参考となる「標準的な運賃」が国土交通省により告示されています。また、令和6年4月から時間外労働の罰則付き上限規制(年960時間)の適用開始を控え、トラック運転者の労働時間の短縮に向けた取り組みを一層加速させる必要があるため、国土交通省は、平成30年5月30日に策定された政府行動計画の施策に基づき、関係省庁や団体・物流のサプライチェーン企業等と連携して、トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化、多様な人材の確保、取引環境の適正化の取組みを強化しています。

令和2年の貨物地域流動調査によると、熊本県から全国へ発送された貨物輸送量は4,994万トンでした。平成29年度の熊本県の県内総生産は6兆596億円であり、その内訳は、製造業が1兆1,320億円と最も高く、保健衛生・社会事業、卸売・小売業と続いています。平成30年の製造品出荷額等は2兆8451億円で、全国第30位の出荷額となりました。製造品出荷額は平成20年度以降増加傾向となっており、業種別では、半導体・自動車・食品バイオ関連で製造品出荷額の60％以上を占めています。熊本県の農業産出額は3,406億円で全国第6位となっており、部門別にみると、野菜の産出額が最も多く全体の36％を占め、次いで畜産の産出額が多い状況です。野菜や果実などに関しては、県内各地で生産が盛んであり、果実や野菜の輸送手段としては、そのほとんどがトラックによる陸路での輸送で、このうち本州への広域的な輸送が70％超となっています。熊本県では、八代市を南九州の物流拠点とすることを目指し「やつしろ物流拠点構想」を策定しました。九州の中央に位置し高速交通網の結束点であり県内有数の工業都市である八代市に九州各地の生産拠点を結ぶハブ機能を持たせ、多くのモノや人が行き交う活気あふれる九州のゲートウェイを目指し取組みを行っています。

運送事業者におけるトラックドライバーの人材不足は全国的に深刻な状況にありますが、熊本県内も同様の傾向にあります。求職者にとっては事業者が選べる環境にありますが、トラック運転者は、全産業と比較して低賃金・長時間労働など厳しい労働環境にあり、運転する車の大きさや走行距離や働き方によって収入が変動するため、自分の保有している資格や希望する収入・働き方、体調面を考慮して選択するとよいでしょう。熊本県トラック協会では、県内のトラック事業者が新型コロナウイルスの拡大による経済の大幅な減速や荷主企業の業績悪化により、「標準的な運賃」の交渉の前に運賃の値下げ要求を受けている現状もあり、看過できない状況となっていることから、地元新聞へ全面広告の掲載、さらには荷主団体の会報誌に広告を出稿するとともに、荷主企業を対象とした「いつもありがとうキャンペーン」を実施するなど積極的な広報展開を図っています。また、熊本県内の荷主企業・荷主団体など約3,000社へ熊本運輸支局長との連名文書を発出し業界内の理解を求める活動もしています。トラック運送業界の重要課題である人手不足の解消については、外国人雇用の道を開くように全国トラック協会に提案するなどこれまで以上に人材不足解消に向けた取り組みを進めています。